コラム
畑田祐二 日本同盟基督教団 千種キリスト教会 牧師
「信仰は聞くことから」
私は二十五歳の時に救われました。音楽大学を卒業し社会に放り出され、自分が思い描いていた理想の人生と現実とのギャップに悩み始めていた時、父の洗礼式に出席したことをきっかけに吸い寄せられるように教会に通うようになり、毎週の礼拝で講壇から語られるみことばと、聖書通読を通して直接神さまの御声を「聞く」ことを通して救いの確信に導かれました。
私が放送伝道のことを知ったのは神学校時代の講義を通してでした。講義は太平洋放送協会の働きを担ってくださっている先生方が週替りで授業をしてくださるという今考えても何とも贅沢なものでした。講義はどれも印象深く、特にある先生が「ラジオ伝道は不特定多数の方が聞くメディアですが、私は目の前にいるひとりに語りかけるようにメッセージをしています」とおっしゃった言葉から、先生方のラジオ伝道にかける熱い思いを肌で感じ取らせていただきました。
そして、授業の一環として実際に3分間のショートメッセージをつくり、太平洋放送協会の録音スタジオに行き、おなじみのオープニングメロディーに乗せてお試し録音をするという貴重な経験までさせていただきました。私は教えていただいたように福音を伝えたいひとりの方を思い浮かべながら説教準備をし、録音の時もその方に語りかけるように心がけました。神学生時代の拙い説教でしたが、それでも大切な「ひとり」を思い浮かべて語る時、語る言葉にいのちが宿ることを教えていただきました。
「信仰は聞くことから始まり、聞くことは、キリストについてのみことばによるのです。」(ローマ10章17節)。映像全盛の目で見ることに信を置きがちな今の時代ですが、信仰はキリストについてのみことば、福音を「聞く」ことから始まります。ラジオ伝道はこのみことばの使命を現代的な方法で担い続けている貴重なメディアだと思います。
メッセンジャーの先生方が「ひとり」を思い浮かべながら心を込めて取り次ぐ神のことばを聖霊が「あなた」への神のことばとして届けてくださいます。毎日の霊的栄養補給のため、救いを祈っているひとりへの伝道ツールとして、東海福音放送協会の尊い働きが益々用いられますように。