コラム

藤田耕史 日本福音教会 名古屋グレイスキリスト教会

 「聞こえてくるその日まで」

 私が中学生の時に、ちょっと口の悪い同級生に付けられたあだ名が「サラリーマン」でした。その理由は、どこにでもいるような奴だから・・・とのことでしたが、それは実際のところ自分自身でも感じていたことでした。そんな自分を何とか変えたくて、もがきつつ背伸びし続ける毎日の中で、いつしか歪みが来ていたのでしょう。24歳のある日の夜に、心がパンクしてしまったように感じる経験をしました。

 でもそのような中で、クリスチャンだった母を通して幾度となく聞いていたはずの聖書の言葉が遂に「聞こえて」きて、私は次第に神様の愛の眼差しを知っていくようになったのです。

 伝道は、その人その人に神様の言葉が聞こえてくるタイミングがある故に、忍耐と息の長い働きが求められているように思います。ただ、その祈りと献身は私自身もそうであったように、いつか実を結ばせるものであることを信じます。

 あの夜の出来事から四半世紀経ち、いま私はサラリーマンから牧師となって教会に仕えています。私個人としては、相変わらずこれといった取り柄もありません。でも、恵みによって救われた者の一人として、ありのままに歩むことの幸いを覚えつつ、同時に教会の交わりの中にあって天の身分を与えられていることに大きな栄誉を感じています。

「しかし、あなたがたは、選ばれた種族、王である祭司、聖なる国民、神の所有とされた民です。それは、あなたがたを、やみの中から、ご自分の驚くべき光の中に招いてくださった方のすばらしいみわざを、あなたがたが宣べ伝えるためなのです。」(ペテロの手紙第一 二章九節)

 私たちの教会が、まだ「聞こえて」きていない人たちへ向けられた働きに、TBAを通して大きな広がりをもって関わらせていただけることを感謝します。また、この東海地方に住む多くの人たちに福音が聞こえるタイミングが一日も早く訪れるようにと、これからも祈り続けていきたいと思います。

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