コラム
巻頭言 「ラジオ放送百年」
日本同盟基督教団 名古屋めぐみ教会 石川正
愛知県図書館から北へ200m程行った丸の内中学校の校門横にNHK放送記念碑があります。名古屋放送局は、東京、大阪に次いで3番目に開局したことから、コールサイン「JOCK」となりました。記念碑は、C(3番目)をイメージした石碑です。名古屋放送局はこの場所で電波を送信したのは、1925年7月15日、間もなく百年を迎えます。
1923年の関東大震災は、「人びとに“ラジオさえあれば流言飛語による人心の動揺を防げたであろう”という思いを起こさせ、放送事業開始の要望が急速に高まって」(竹山昭子「ラジオの時代」)いき、2年後には、ラジオ放送が開始されました。日本で災害直後に調査を行うとラジオに対する信頼度は非常に高いようです。
さて、太平洋放送協会(PBA)は、1951年に誕生し、翌年には、「暗き世の光」が富山の北日本放送から放送開始され、まもなく「世の光」となり、民放30局中23局から放送されるようになりました。今、全国各地で組織された放送伝道協力会によって放送され、七十年を越える長寿番組となっています。
総務省の2024年のラジオ放送聴取等の実体に関する調査研究報告書によると、ラジオを月に1日以上聴いている聴取者は全体の35.6%です。 聴取機器は、AMラジオを聴いている人は27.3%、FMラジオは27.0%、インターネットラジオは18.4%とされています。また、ラジオ聴取者の多くはカーオーディオやスマートフォンを利用しており、移動中に聴取することが多いようです。
ラジオ「世の光」は、放送だけでなく、電話、インターネットでも聞くことができます。インターネットを通じて配信される音声コンテンツの「世の光」は、ラジオのように放送時間に縛られることなく、好きな時に好きなコンテンツを何度でも繰り返し聴くことができます。また、ワイヤレスイヤホンの普及により、通勤・通学の移動中、音楽やポッドキャストを楽しむ「ながら族」が現代のライフスタイルとなっています。「ながら聞き」を意識したコンテンツの整備を期待します。