コラム
目からウロコ?鼻から牛乳? 世の光・ジェネレーションX・パーソナリティー 水谷潔
68「『君たちはどう生きるか』作者の転機」
80年も前に書かれた「君たちはどう生きるか」が漫画化されてベストセラーとなりました。原作と漫画を合わせると、その売り上げは100万部を超えているのだとか。先日、作者である吉野源三郎さんのご長男がテレビ番組に出演しておられたのですが、そこで語られた父親の人生の転機にはびっくり。息子さんが語った少年時代の吉野源三郎さんは、後の進歩的知識人、反戦運動家のイメージとは正反対だったからです。
吉野さんは、いじめっ子で、暴力でクラスを制圧するような少年でした。それが行き過ぎて、15歳の時には、クラス全員から無視されるようになります。絶望的な孤独に突き落とされた彼にとって、唯一の友は書物でした。この時に読書に没頭したことが、生涯の転機となります。息子さんの話では、中でも、聖書に大きな感銘を受け、「汝の敵を愛せよ」との言葉に触れ、吉野少年は変わっていったそうです。
「君たちはどう生きるか」が80年の時を超え、今も人々の心に届くのは、この書物の根底に、聖書が持つ普遍的な価値観があるからだと思えてなりません。同著が書店で並んでいたら、テレビやネットで紹介されるのを見たら、吉野源三郎さんに転機を与えたのが、聖書であったことを思い出してください。