コラム
コラム 目からウロコ?鼻から牛乳?
「将棋の『入玉』をご存知ですか?」 水谷 潔
将棋の言葉で「入玉(にゅうぎょく)」とは、王将または玉将が敵陣(相手側の三段目以内)に移動することだそうです。これは極めて稀なことで、王将が詰みづらくなるため、判定で勝敗が決することもあるのだとか。実は、今年の9月12日に行われた永瀬拓矢王座と藤井聡太七冠の対局では、双方ともが入玉しかねない場面があり、この「入玉」が注目されました。劣勢の中でも、勝利を求めて、王将自らが敵陣まで移動することがあるのだと知って驚きました。
そこで、思い至ったのは、この世界の王の王である方です。2000年前、王である方は、敵陣に移動されました。「神」である方が、「人」となり、神に逆らい滅びていく「世」に来られたのです。それは、極めて稀どころか、本来はあり得ないこと。歴史上、たった一度だけの出来事。そして、その入玉は、絶対的な劣勢の中で、圧倒的な勝利をもたらしました。
11月となり、クリスマスを意識する季節になりました。将棋の「入玉」をイメージしながら、クリスマスの出来事を思う時、そこに新鮮な感動が湧き起こるのではないでしょうか。