コラム
日本イエスキリスト教団 名古屋教会 松浦剛
「一人の人間の命を救う」
最近、一冊の文庫本を読み終えた。マス・キニーリー著(幾野宏訳)「シンドラーズ・リストー千二百人のユダヤ人を救ったドイツ人」(新潮社 1989年)ノンフィクションノベルである。この本の内容がどのようなものであるかは、「TBAだより」の読者お一人びとりの方がよくご存じのことであろう。
この本の五五八ページに次のように書かれている。「これは時宜にかなった申し出だったし、周囲が遠慮してもイェレートは受けつけなかった。彼は以前クラフクで歯科を開業していた囚人にブリッジを抜き取らせた。リヒトはそれを溶かして地金にし、五月八日の昼頃には、リングの内側にヘブライ語の銘を刻(ほ)り上げていた。それは一九三九年の十月に、ブーフハイスター商会のフロントオフィスで、シュッテルンがオスカーに引用して聞かせた『タルムード』の中の詩句だった。いわくー”一人の人間の命を救う者は全世界を救う”」
第2次大戦の時、ヒットラーはドイツ,ポーランド,他にいるユダヤ人を迫害した。そのような時世に合って、ドイツ人実業家オスカー・シンドラーは、ポーランドの強制収容所のユダヤ人千二百人の命を守り、救う。戦争が終了した時、生き残った千二百人のユダヤ人たちは、感謝を込めて金の指輪をオスカー・シンドラーに贈った。それには”一人の命を救う者は全世界を救う”と書かれていた。
これらを読んで思うことがある。TBAの働きを通して福音が世の中の人々に届けられている。リスナーの中から聖書を読み始める人、教会に通う人、福音を受容してキリストの救いにあずかる人々が与えられている。そのような実はわたしが牧会している教会の中にもいて毎週礼拝を守る者となっている。
東海地方の緒教会、緒聖徒たちの協力と祈りによって、福音は電波に乗ってどなたの元にも届けられていく。今日も一人の人が福音を聞き、決心したことであろう。一人の人の心に永遠の命がもたらされたのである。”一人の人の命を救う者は全世界を救う”この働きのために続いてご協力をお願いしたい。