コラム

巻頭言 11月号 「福音の伝播と電波」

朝日聖書教会 牧師 加藤光行

 初代教会の折、記されたみことばの多くは手紙を通して、宛先である諸教会へ届けられ、聖徒たちに読み聞かされました。ローマ帝国中に広がる諸教会へみことばが届けられるためには、一般的な通信手段であった手紙がとても有効でした。パウロたち著者によって手紙が記される時、信頼できる同労者や熟練した書記生によって代筆されることも多かったようです。同労者たちによって配達され、届いた先では配達者や現地の兄姉によって朗読され、それらすべての過程が「手紙」という作業だったと言われます。みことばは普通の通信手段を通して、多くの同労者の働きによって、諸教会のクリスチャンたちへの福音として届けられました。それによって、数えきれない人たちが神の救いが与えられ、生き方が変えられ、諸教会は建て上げられ、広がっていったのです。福音の伝播は大勢による、各種の作業を通した総がかりの働きです。

 放送伝道の働きは福音を運んだ手紙とそっくりです。みことばをラジオをはじめとした現代メディアを通して、できだけ大勢へできるだけ広く伝える働きです。番組でみことばを語る説教者だけではなく、制作者やパーソナリティをはじめ各種の裏方の人たちや作業の備えがあってはじめて届けられます。リスナーである私たちの想像を超えて多くの人たちと労力によって、みことばを耳にしているのです。

 私にとって大切な方の中で、放送伝道を通して病床で福音を耳にしクリスチャンに導かれた方が二人います。お一人は交通事故で足の骨折と骨髄炎を併発し、一年半の入院生活の中でやけにもなっている中で放送を聞きました。続けて始めた通信講座をも通して、天地万物は神が造ったこと、イエス様が来られて十字架にかかられたことを知ったと証ししていました。それをきっかけに、後に文書伝道や絵本販売への働きへと導かれ、少し前に天へ召されました。もう一人の方も病床でまさにPBAの番組を聞き、後に牧師として激しくも尊い働きをされて天へと凱旋していきました。二人とも私が特別に尊敬する方である故、放送伝道の働きに感謝しつつ、福音伝播(電波?)の共同の働きに協力したいと思います。

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