コラム

12月号巻頭言 「〈神の国〉を先取りして生きる私たち」

江橋摩美 太平洋放送協会(PBA)宣教制作部スタッフ(ラジオ「世の光」シリーズ制作・アナウンサー)

ラジオ「世の光」シリーズの各番組(「世の光」「世の光いきいきタイム」)では、毎年クリスマスの時期、スペシャル番組を企画し放送しています。実は、このスペシャル番組の準備は、毎年夏の終わり頃から始まるのです。まずはスタッフ一同、企画を持ち寄って制作会議を行います。テーマや内容を決め、さらにご出演いただくゲスト候補を挙げて、決定後に交渉。そしていよいよ10月頃に、収録、編集、完パケ(放送局に納品する状態に仕上げること)などを行います。ですから私たち制作スタッフは、毎年、12月のクリスマスシーズンだけでなく、晩夏〜秋の時期にも、クリスマスの喜びを先取りして味わっているのです。なんと贅沢なのでしょう。番組制作者の特権です。

さて、2023年もまもなく終わろうとしています。今年も、本当にいろいろなことがありました。皆さんにとっては、どのような一年だったでしょうか。私自身は、忙しい中にあっても感謝の日々を過ごした一年でしたが、一方で胸が締めつけられるような悲しいニュースを聞くことも少なくなかったように思います。戦争や暴力、また弱い人が虐げられ、差別が横行する現実が、この世にはあります。そのような苦しみや痛み、また貧しさや嘆きのあるこの地上に、神の御子であるキリストが、人となって生まれてくださったことを覚えたいと思います。主イエスは、誰も想像しなかった「十字架で死ぬ」という方法で被造物を贖い、復活してくださいました。
イエスさまはおっしゃいました。「わたしはすでに世に勝ちました(ヨハネの福音書16:33)」と。
クリスチャンの私たちは、そのイエス・キリストにつながり、やがて完成する「神の国(神のご支配)」を先取りし、今を生きています。たとえこの地上に悪が満ちていようとも、私たちは、すでに勝利されたキリストによって、「神の国の価値観」を自分のものとして生きることができるのです。それは私たちの特権です。

そして、その喜びを知っているクリスチャンは、良き知らせ(=福音)を伝えずにはいられません。言葉だけではなく、人との関わりの中で、また日常生活の中で…。そしてもちろん、ラジオ「世の光」シリーズなどの放送を通しても、その喜びは伝えられています。福音は、キリストがこの地上に来てくださったように、悲しみや痛みのあるこの世界に、電波に乗って届けられます。新しい年も、地域教会の神の家族とともに担う放送伝道の働きを通し、東海の地で、またさらにその先の地で、「神の国」がますます広げられていきますように。

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