コラム
巻頭言12月号 「行と行の間に」
太平洋放送協会 宣教協力運営部スタッフ 谷川憲一
私が、PBA(太平洋放送協会)に入会したのは、2002年のことです。
PBAに入会した時は、放送伝道については、あまりよくわかっていなかったというのが本音です。そんな自分が、その後、「世の光」の制作部長になるとは、不思議な導きだったと思っています。
さて、入会当時、羽鳥明先生は、外部でのご奉仕はほとんどされていませんでしたが、「世の光」の収録だけは、スタジオに来てされていました。私は、先生の収録担当を任され、最後の収録までご一緒させていただきました。
羽鳥先生は、収録前、必ず、持ってこられた手書き原稿の上に手を置いて、「この原稿の行と行の間に主が働いて、リスナーの心に福音が届けられますように」と祈り、収録を始めたことを懐かしく思っています。
ある時、羽鳥先生は、「世の光」という番組について語られたことがありました。
「『世の光』は変わらない聖書のことばとその言葉によって活かされたクリスチャンの証を紹介する番組です。・・・」
正直、その時は、ピンとこなかったのですが、2011年3月11日、東日本大震災が起こった時、当時、部長だった私は、こんな時に、どんな番組を制作したらよいのだろうかと悩んでしまいました。「世の光」の収録は2ヶ月前に行われますので、そこでお便りを紹介された方の生存確認などもしなくてはいけませんでした。
そんな時に、あるラジオメッセンジャーが、私のところに来て、「私が二ヶ月前に収録した自分のメッセージを聴かせてほしい」言われたのです。
その後、その先生は、自分が語ったメッセージを聴き直して、こう言われました。「大丈夫でした。聖書のことばは、たとえ天地が揺るがされるようなことがあっても、変わらずに伝えることができるんですね。」
私は、その時に、羽鳥先生が語られた「世の光」という番組を、本当の意味で理解できたように思います。確かに、羽鳥先生のメッセージには、何があっても変わらない聖書のことばと、それに照らし合わせた証が紹介されています。そして、そのメッセージの行と行の間に主が働いてくださるようにと祈りを込めて、一人一人に語りかけていたのです。
(さて、2024年も終わろうとしていますが、今年3月に、岩井基雄先生を天にお送りしました。その寂しさは、今も変わりません。実は、お父様の岩井従男先生は、生前、毎日「世の光」を録音して、それを一言一句書き記していました。まさに行と行の間に働かれる神様の御声を、書き留めていたのだと思わされます。そして、そのスピリットは岩井基雄先生に受け継がれ、メッセンジャーとして長年、立ってくださったことに感謝の思いは絶えません。 )
今も、羽鳥先生の手書き原稿を見るたびに、「行と行の間に・・・」と祈る姿を思い出しながら、 私たちもそのスピリットを受け継ぎつつ、「世の光」を通して、神様に出会う方が、ますます起こされることを願っています。